2012/04/15

『フカヨミ feat.初音ミク』のトレース(5) ~腕~


MMDモーショントレース初心者向けに、自分なりのコツなどをご紹介。
FREELY TOMORROWのモーションファイルに同梱したテキストの改訂版です。

第4回はこちら




みなさんこんにちは、蔵人です。
前回で胴体・足・頭まではトレースできました。

今日は腕に入って行きますよ。



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第5回 ~腕~ 

◆事前準備

◆肩 
◆ひじ
◆腕

◆指
◆手首

腕は工程が多いですね。自分のペースでやりましょう!
疲れてからではなく、疲れる前に休憩を取るのがコツです。
45分作業して15分休憩、くらいがいいですよ。



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◆事前準備

トレースをする前に・・・いくつかポーズデータを作ります。

肩やひじのように可動方向がある程度決まっている場合、
あらかじめポーズデータとして登録しておいてフォルダからドラッグ&ドロップで読み込むと簡単です。


1)肩

肩は全部で8種類作ります。
まっさらな新規プロジェクトを作って、トレスに使っているモデルを読み込んで下さい。

最初に右肩のローカルZ軸だけを回して【腕を上げた状態】を作ります。




右肩ボーンのみを選択して、ポーズデータの保存。vpdに名前をつけておきます。
筆者のフォルダ階層はこうなってます。参考までに・・・

pose\右肩\右肩01_腕上げ.vpd




次にポーズを反転ペーストして左肩を同じように登録します。
右肩を選択したままにしないよう注意してください。

以下同じ要領で、【Tスタンス】【Aスタンス(初期位置)】【気をつけ】のポーズを左右それぞれ作ります。

↑Tスタンス


↑Aスタンス(初期位置)



↑気をつけ(あまり差がないので、Aスタンスで代用してもOK)





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2)ひじ

肩に続いてひじです。やることは同じ。
ローカルY軸を操作して、4パターンx左右を登録します。

【伸ばし】【少し曲げてる】【直角】【かなり曲げてる】
大体でいいんですけど、ひじの内側の角度が
180度、150度、90度、30度くらいの状態を目安に登録するといいでしょう。


↑少し曲げてる (※ここでは見やすいように腕も操作しています)



↑90度



↑かなり曲げてる












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3)指

指です。
左右別にしてグー・チョキ・パー、指差し、手刀、パクパク・・・くらいあれば足りると思いますが、
作るのが面倒だという人には便利なポーズ集があります。

http://seiga.nicovideo.jp/seiga/im1834888



こういうライブラリを公開してくださる方には本当に頭が下がりますね。


さて、ここまでポーズができたら準備は終わりです。
フォルダを開いたままにして、トレースのpmmを読み込んで下さい。



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◆肩(D&D)

やることは単純で、肩ボーンを選択状態にしておき
先ほど作成したポーズをドラッグ&ドロップでMMDへ放り込み、エンターで登録する。
この繰り返しです。


目安としては
トレース対象のひじが肩より上にあれば【腕上げ】、
ひじが肩と同じくらいの高さなら【Tスタンス】、
それ以下なら【Aスタンス】、
気をつけしていたり、右手が体の左側まで振れた時などは【気をつけ】
という感じで決めていきます。

振り付けの中で特別に肩を大きく使って躍動感を表現しているような場合
(肩に目が奪われる=肩が主役になっている場合)のみ修正します。



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◆ひじ(D&D)

流れは肩とおなじです。

「なぜ先に腕からやらないのか?」という疑問があるかと思いますが、肩とひじはMMDでの回転軸がある程度決まっていますので、先にこれらをつけてしまったほうが腕を動かす範囲を絞り込む際にやりやすくなります。また、ひじが曲がっている方が腕の回転角度を視認しやすいというメリットもあります。
しばらくやってみて、もし自分に合わないと思ったら別に腕からやって頂いても構いません。

ひじは見たまんまD&Dしていけばいいので簡単ですね。あまり細かく登録せずに、補間に任せたほうが簡単で綺麗になります。

極端に折りたたんでいるなど、作成したポーズで対応できない部分だけ手でつけていきます。


ここまでの動画がこちらです






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◆腕(ローカル/グローバル XYZ軸回転)

肩とひじが先に決まっていれば、腕の回転は自由度を奪われて決めやすくなっているはずです。
ローカル・グローバルのあらゆる回転軸を活用してトレース元と位置をあわせて下さい。


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◆指(D&D)

フォルダからD&D。指先の表情は意外と目立ちます。
同じ「パー」でもピーンと伸ばした反り気味のパー、ちょっと緩めたやわらかいパーと色々なニュアンスがありますね。


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◆手首(ローカルZ回転)

基本、ローカルZ回転のみです。指を先につけたほうが角度を決めやすいです。
場合によっては、ねじる動きの負荷分散で回すこともあるかもしれません。


ここまでの動画がこちらです





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いかがでしょうか?

腕は難関と言われていますが、事前にポーズを作ってD&Dすればそれほど悩まなくて済むため、あまり頭を使わず機械的に作業を進められます。

美麗なモーションを作るにはここからの微調整や補間曲線との果てしない戦いが待っているわけですが、それはもっとモーションの上手い人の講座を見て下さいね。



さて、ここまでくれば完成したも同然!
テンション上がってきちゃいますね。

次回はリップと表情についてです。

それではまたお会いしましょう。蔵人でした。


つづき(準備中)

2012/04/05

『フカヨミ feat.初音ミク』のトレース(4) ~センター・頭部~

MMDモーショントレース初心者向けに、自分なりのコツなどをご紹介。
FREELY TOMORROWのモーションファイルに同梱したテキストの改訂版です。


第3回はこちら


みなさんこんにちは。蔵人です。
前回の記事で足までトレースできました。

それでは次にセンターを調整し、頭を動かしましょう。


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第4回 ~センター調整・頭部~ 

◆センターを調整する 
◆頭部を動かす
◆補間曲線について

今回はあまり書くことがありませんね。

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◆センター XYZ座標(グローバル)


1)Z座標
まずはZ軸からです。


視点パネルを操作して、モデルを右または左から見ます。
前回足をトレースしたので、接地ポイントとのバランスを見て違和感がなくなるように重心を前後させていきます。



↑【左面】【右面】を押してね!


横から見てセンターの前後の位置を調整・・・。転ばないようなバランスで


センターのキーフレームは新たに打つことはせず、すでに打ってあるフレームの調整に留めます。
もしモデルがグルーブボーンを搭載していて、配布モーションにもグルーブを含めてよいと判断した場合、ここでZ軸のみをグルーブに負担させることで調整はかなり楽になります。

例)
センター → XY座標・Y軸回転
グルーブ → Z座標

グルーブは本来的にはセンターの移動と切り離して縦ノリを再現するための多段ボーンですが、別にZ軸に使ったからといって問題ありません。ベクトルを分解して調整を簡単にするという趣旨は同じです。

また、正面視点の元動画からはどうあがいても正確なZ位置は分かりませんので、あまり神経質にならずに感覚優先で大丈夫です。

色々な方が作成されたモーションをDLしてみれば分かりますが、上下左右のどこから見ても滑らかなモーションというのは極めて稀で、達人レベルのほんの数人が超絶な時間をかけたであろうものに限られています。

入門レベルでそこまでやると時間・労力・モチベーションの面で現実性が乏しくなりますので、まずは正面視点での正確さを第一に置き、その他の視点ではとりあえず違和感の軽減を目標にする程度でよいのではないでしょうか。



2)XY座標
Z軸の調整が済んだら視点を正面に戻し、XY座標をモデルとトレス元が重なるように調整します。


これで肩から足首までのシルエットはほぼ一致しているはずです。
大きくズレているようなら適宜修正して下さい。



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◆頭部


(※筆者が苦手とする部分ですので、後から加筆・修正がなされる場合があります。)


基本的にセンターのキーフレーム位置に合わせて打っていきます。
その方が意図しないカクカクを防げます。

頭部というと具体的には【頭】と【首】になるのですが、筆者はこの部位の使い分けがまだうまくできません。

XY軸回転とZ回転を分担させるのがいいのか、XZ軸回転とY軸に分けるのがいいのか…。それともベクトルで分けずに首単独で動かして頭を補助として使うのか、など試行錯誤を重ねている途中です。

ちなみにフカヨミのモーショントレースにおいては首をメインに3軸稼働させ、頭を補助として使っています。


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◆補間曲線について


初心者最大の壁とも言える補間曲線ですが、体幹と足に関してはこのタイミングで調整を施すのがいいかもしれません。


もちろんステップごとに調整してもよいのですが、フレームを打ち直すと消えてしまったりと不便な部分もありますので、まとめてやってしまった方が楽だと思います。


補間曲線に馴染みのない方はとっつきづらく感じると思いますが、これはモーション調整を楽にするための機能ですので、最初に覚えてしまったほうが後々の作業コストは軽減できます。


ちなみにフカヨミのモーショントレースでは実験的に「補間曲線を使わずに中割を増やす」という手法で調整をしています。どちらが楽か?どちらが速いか?という研究なのですが、結論は「使い分けたほうがいい」という無難なものになりそうです。


補間曲線については解説の動画がたくさんあるのでそちらをご覧ください。









頭までトレースした動画がこちらです
(※補間曲線はいじっていません)




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話は違いますが、解説動画をちゃんと作れる人って凄いですよねえ・・・。

筆者は講義形式で人前に立ってレクチャーするのは得意ですが、動画でわかりやすく教材にまとめるというのは苦手です。なぜって面倒くさいから。

面倒な事は大嫌い!手間を省いて成果を得たい、これが蔵人流です。

上の動画の方々はきっと面倒な事を乗り越えることが喜びなんでしょうねえ・・・。
筆者がちっとも成長しないのは面倒から逃げているせいなのでしょう。





さて、だいぶ形になってきたのではないでしょうか。
次回は腕ですね。難関ですが、ここも出来る限り省力化するコツをご紹介していきたいと思います。

それではまたお会いしましょう。蔵人でした。


つづきはこちら


2012/03/27

『フカヨミ feat.初音ミク』のトレース(3) ~足~

モーショントレース初心者向けに、自分なりのコツなどをご紹介。
FREELY TOMORROWのモーションファイルに同梱したテキストの改訂版です。


第2回はこちら







色々な表情のウェストショットを
撮ったのに
特に使い所がありませんでした…










みなさんこんにちは。蔵人です。
前回の記事で体幹までは無事にトレースできました。

それでは次に足を動かして行きましょう。


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第3回 ~足~ 

◆足IK 
◆足首が暴れる原因と対処法
◆つま先を中心に回転させるテクニック


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◆足IK XYZ座標(グローバル/ローカル)・Y軸回転(ローカル)






IKをオフにするとモーションを読み込む時にもIKオフの設定が必要になりますので、
通常のトレースの場合はIKオン(初期設定)のままにします。




初期位置とパースがきちんと合っている場合、
モデルとトレス対象の足の見た目が一致するように置いて行くと
自然にZ座標も含めた角度がわかります。





単純に見た目が重なるように置いていく




そのため、見た目を一致させることでZ位置をトレースできるよう、
初期位置とパースをできるだけ正確に合わせておくほうが楽なのです。




それでは足首のあたりを目印に、起点・頂点・終点をトレースします。




筆者のやりかたではまず接地点から接地点へX・Z座標を動かしてキーを打ち、
それから間の宙に浮いている部分のY座標を動かして登録します。
何を言ってるかわからないと思いますので、この動画をどうぞ。





モーショントレースの動画ではありませんが、
1:03~の説明が分かりやすいと思います。



動きのメリハリを出すためには
いわゆる「重力を感じるモーション」に仕上げることが肝心なのですが
簡単な方法はセンターを下げることです。




センターボーンを範囲選択してバイアス付加でY値をマイナス補正すれば
かなり重みが出ます・・・が、常に膝が曲がった状態になりますので
元動画で膝が伸びている箇所は修正する必要があり、
最初から沈み込む場所だけ選んでセンターを下げるのと
手間があまり変わらない気がしないでもないです。






さて、トレス元が前後に大きく動く場合、足が届かないことがあります。
そういったケースはすでに打ってあるセンターのキーを選択し、
Z座標をアバウトに調整して下さい。





届かないときはセンターを動かす




この時新たにキーは打たず、すでに打ったキーで調整します。




センターは大体合ってるはずなのに
どうしても足が地面に届かない、あるいは大きくめりこむといった場合は
下半身の回転がおかしいか、そもそもパースが大きくズレている恐れがあります。


一人で解決できない場合は誰かに助けを求めてもいいでしょう。
つまづくところは大体同じはずです。
VMDやVPDを書きだし、途中経過動画と一緒にデータをUPして添削を求めるか
2chの底辺スレ、したらばの初心者スレやモーションスレなどで指導を仰ぐか
メールやツイッターで筆者に連絡して頂いてもいいです
(100%の回答は約束できませんが…。)




Youtube板      http://anago.2ch.net/streaming/
したらばMMD板  http://jbbs.livedoor.jp/music/23040/




※いずれもローカルルールやテンプレをよく読んで書きこんで下さい。
「初心者だから」は通用しないので注意して下さい。




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◆足首が暴れる原因と対処法




足首がぐるんぐるんと回るのは、
センターの向き・下半身の向き・足IKの向き・足の向きが怪しいと思って下さい。
これらのうちどこかが現実にはありえない方向を向いていたりするとよく回ります。



正しい位置





【足】のY軸を回したところ





【足IK】のY軸を回したところ





【センター】のY軸を回したところ





【下半身】のX軸を回したところ




どうでしょう? 足首の向きは
足そのものと同じくらいに下半身やセンターが影響することが分かるでしょうか。



そのため、足首が暴れるのはどこかが間違っているというサイン。
無理やり足首を修正して直すのではなく、姿勢の方を見なおしてみましょう。





それでも直らない場合は、まずは初期化です。
下半身・足IK・足を初期化して、もう一度正しく回します。




初期化した後は【ボーン編集】⇒【Y値0化】をする癖をつけます。
これがズレているのに気づかず進めると後で悲惨です。




初期化して慎重に回せば大体は直るのですが、それでもまだおかしい場合は
足首ボーンを連続打ちで固めてしまう手もあります。



こんな感じで・・・。




ただし、ここでガッチリ足首を固めてしまうと
この後センターの位置を調整した場合にかえって足首がおかしくなるので、
もし足首ボーンをいじるならセンターの位置修正が終わり、
キーフレームが完全に定まってからの方がいいと思います。
二度手間になりますので。




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◆つま先を中心に回転させるテクニック




上級者でも手こずると言われたり言われなかったりする【つま先ターン】の扱い。
有名なテクニックとして「足IKとつま先IKを同時選択して回す」というものがあります。
面倒なので解説はリンク先へ丸投げです。





↑5:10~に説明あり



↑冒頭からつま先処理の話です




この小技を使えばだいぶラクになります。








●足をトレースした動画はこちら





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解説をたびたび他の動画やブログへ丸投げしていますが、
すでにある財産を有効に活用するのはMMDの根幹理念ですからね!


ついでに申し上げておくと、
そういった解説をどこで誰が行なっているのかを知っているということは、
筆者がそれだけ熱心に解説動画やブログを読んで研究している
ということの裏返しでもあるわけです。



その上でいいと思ったもの、わかりやすいと感じたものは
堂々と人に紹介していきますよ!




さて、今日は足までトレースできました。


足の位置が判明したところで
次回は重心を再度調整し、補間曲線をいじった後で
頭へと移っていきます。


それではまたお会いしましょう。蔵人でした。




つづきはこちらです